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人生の奇跡

八月最後の暑い日、ボクとリエさんは江古田の産婦人科にいました。
すでに待合室で数人の妊婦さんと付き添いの旦那さんが待っていました。
受付の担当の人は一人でせかせかと忙しそうです。
リエさんが隣で問診票を書いています。

後からやってきた妊婦さんは小さい子を連れ、こちらもパパさんも一緒。
最近は産婦人科に付き添う男性も増えているのですね。
はじめに妊婦さんが呼ばれ、診察室に入っていくのですが、
その後、「旦那さんどうぞ」
の声がかかり付き添いの男性が入っていきます。
もし旦那さんじゃなかったらなんて呼ぶんだろう。
「愛人の方どうぞ」とか「不倫中の方どうぞ」とか。
入っていきづらいだろうなぁ。
逆にそこで堂々と入っていって、男を上げてみたりして。
アホなこと考えていたら、名前を呼ばれて診察室にリエさんが入っていきました。
ボクはなんて呼ばれるのだろうな。
やっぱりオーソドックスに「旦那さん」かな。いや「ちょっとそこの小粋な若旦那さん」とかね。そんなわけないか。

「通風の方どうぞ」なんて呼ばれたら、どうしようかな。
残念ながら、ボクにお声がかかることはなくしばらくして、放心状態のリエさんが診察室から手ぶらで出てきました。
「あ、いけない。荷物全部忘れて来ちゃった」
いつも冷静なリエさんが動揺しています。
ボクの隣に座ると、「妊娠してますって
。よかった」
リエさんの目に涙があふれています。
二人で顔を見合わせて、
「ホントによかった」
気がつくとボクも泣いていました。
お医者さんから「ホントに41歳なの?若いね。ホントに何も(不妊治療)していないの?だとしたら、奇跡だね」と言われたそうです。
赤ちゃんは5週目に入っており、しばらくはコロコロと横になって安静にしていることが必要とのこと。
葉酸などのサプリメントもとった方がよいと言われ、帰りに買って帰りました。
この間行った屋久島の白谷雲水峡にある、下を通るときに願い事をすると叶うと言われている、くぐり杉を通るとき、リエさんは赤ちゃんが来てくれますようにとお願いしたそうです。
本当に叶ったね。

これからいろいろと大変なこともあると思うけど、我が家にもう一人家族が増えると思うと、もう嬉しくて言葉になりません。
人生の奇跡にただ、ただ感謝です。