戦い明けて
断腸の思いで帰った次の日、9時過ぎに病院に行きました。
お母さんは痛みで一時間しか寝れなかったのこと。
しばらくするとお茶目な先生がやってきて、
「生理痛のもっと痛いやつ」がリエさんに
襲ってきてるのだそうです。
残念ながら、生理痛の痛みも分からないお父さんは
ただ側にいてあげることしかできません。
今日はリエさんのお姉さんがお見舞いに来てくれました。
こういう時、女性の肉親は本当に有難いです。
君の名前をいろいろ考えていましたが、
お母さんと相談した結果、
3つの候補の中から「湊(みなと)」に決定しました。
お父さんとお母さんは生まれも育ちも、みなと横浜。
お母さんの家系は今は残念ながら止めてしまったのですが、
かつて代々、横浜で漁師を営んでいました。
実家は今でも、横浜の海の側にあるのです。
みなとには「港」と「湊」という漢字がありますが、
みなとの海の部分を「港」、陸の部分を「湊」というのだそうです。
まさにボクの大好きなリエさんの家のルーツを指す言葉です。
さらにお父さんもも20年近く、お国の関係の調査船の超音波を
応用したシステムのメンテナンスを担当していたので、
船やみなとは縁にがありました。
この名前にはリエさんとボクの”自分達は何者で、何処からきて、何をしてきたのか”=ルーツが籠められています。
みなとという漢字は、
古事記や日本書紀では「水門」という字であらわされて
いたそうです。
さんずいの右側の奏でるという漢字には、
「品物の種類や形をそろえて、神や君主の前に差し出す。 方向を定めて前進させる。 事がらの首尾をまとめて、君主にもうしあげる。 音や声をそろえてかなでる。 そろってまとまる。事がらが進行して結果がまとまる」
「湊」の漢字の意味には、
{名}みなと。水上航路のあつまってくるみなと。〈類義語〉港。
{動}あつまる。多くの物がそこへとしぼられたようにあつまる。〈類義語〉輳ソウ。「輻湊フクソウ」
「湊理ソウリ」とは、細かい組織のあつまった皮膚組織。
《解字》
会意兼形声。奏ソウは「お供えの獣の体+両手」の会意文字で、供え物をあつめて神前に向けて進めるさま。ある方向にあつまる意を含む。湊は「水+音符奏」で、水路がそこへ向けてあつまるみなと。
などという意味があり、
みなとを通じてモノや人が集まり、それらのモノや人が
世界に向けて旅立っていき、
そしてまた、みなとに帰って来る。
そんな世界を舞台に活躍するようなスケールの大きい人間になってほしい、
という願いが籠めらています。
これから先、君にいろんなことがあると思うけど、
ふと、自分の名前に籠められた意味を思い出して
もらえてたら、お父さんとお母さんは嬉しいです。
勉強はできなくてもいい、ただ人の気持ちがわかる
優しい人になってくれたらいい、と思います。
お母さんは君を産んだ痛みに一生懸命耐えています。
お父さんは明日、また朝から、お母さんの側にいようと
思います。
湊くん、また明日逢えるのを楽しみにしています。
おやすみなさい。